No.19 エグゾーストシステム part2

No.19 エグゾーストシステム part2

 『乗って楽しいミニ』とは?


 LCB(タコ足)から触媒の間においては大きな変更や改良をするのは難しいですが、触媒から後方においては様々な変更の選択肢が用意されています。大別するとシングルボックスまたはツインボックスのエグゾーストがあります。結論から言えば、個人的な意見になりますが、触媒から後方の排圧と音量の問題を考えてシングルボックスをお勧めいたします。理由としては、①コストが安い ②取り付けが簡単 ③センターパイプが長くなるため後々改良が可能 ④ロードクリアランスが大きい ⑤販売実績が圧倒的に高い が挙げられます。ミニスペアーズセンター製RC40シングルボックスやウエスレイク社(千葉県)が輸入販売している英国マニフロー社のシングルボックスがミニ1300には最適と言えるでしょう。
 

 一般的な国産のガソリンエンジンのワンボックスカー(オートマ車)でエグゾーストの改悪をしてしまい、ボーボーと音量だけがうるさく、トロい出だしの車を時々見かけますが、トルクが細くなった分だけ立ち上がりが遅く、次のギアチェンジまで加速するのに時間を要してしまいます。2速をホールドしたとしても、今度はオートマチックの変速タイミングと合わず、3速、4速と全て手動で変速しなければスムーズに加速しない車になってしまったようです。これは、排圧の重要性を全く無視して、「太いテールパイプ=カッコ良い」、「爆音=目立って良い」、「速くなったつもり」を優先した結果なのでしょう。

 全てのガソリン自動車に言えることですが、エグゾーストシステムを無視したエンジンチューニングは、ギア比との関係から大幅にパフォーマンスを低下させてしまうことになってしまいます。出力(馬力)が向上しても排気圧が低いとトルク不足が生じ始め、「乗って楽しい車」には程遠い仕上がりとなってしまいます。各ギアが適合しなくなり、半クラッチを駆使して発進しようとしても、信号待ちで隣に並んだ重量貨物を積んだ軽トラに負けてしまうことになるのです。ホンダの50㏄スーパーカブでさえも、エグゾーストパイプを30cm位の所で切断して乗ってみると、ローギアでも走り出さなくなってしまいます。それ程までに車にとってエグゾーストシステムは重要な部分なのです。

       

 OHV1300ccSUツインキャブのチューニングミニであっても、トルクの重要性は全く同じことが言えます。高回転向きではないミニにおいて、最高出力ばかりを追求するのは間違いであって、いかに低回転から高トルクを発生させられるかが要なのです。幅広いトルクバンドが、峠でもサーキットでも、そして街乗りでも有利に働くのです。低回転であっても快適でスムーズなシフトアップができるミニこそが本当の「楽しいミニ」と言えるでしょう。

 
-------------------------------------------------- ≪追記≫ ----------------------------------------------------------


 排気圧を全く考慮していないエグゾーストシステムを使用した場合、音量もさることながら排気による振動と共鳴・共振が起こり、これがミニの車内に伝わるとドライブ中の会話ができない程です。特定のエンジン回転数で室内のどこかが共振を起こす際、その回転数が6000rpm以上であるならば日常的の使用において大きな問題ではありませんが、これが 2000-3000rpmとなると不快以外の何物でもありません。

 何年か前に英国でアルファロメオGTA3.2用のステンレス製エグゾーストシステムをテストした経験がありますが、2000-2500rpmで必ず排気の共鳴と室内への振動が発生してしまい、6速ある各ギアで必ず振動が発生し始め、GTA3.2のゴージャスな車内であっても騒音と振動からくる不快感で楽しくない車となってしまいました。

ミニであってもアルファロメオであっても、実用ファミリーカーとして設計されている訳ですから、性能の向上のみを重視するあまり、本来の快適性を台無しにしてしまうようなチューニングパーツであってはなりません。これは全ての実用車に言えることですが、長距離ドライブでは「うるさい車」は確実に悪となります。楽しいはずのドライブが目的地に到着するや否やドライバーも同乗者も全員疲れ果て、「乗って楽しい」とは無縁の状態となってしまうでしょう。

 
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