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No.45  

Mini Suspension Technology

サスペンションについては終わりに近付きつつありますが、車高とテンションロッドの関係はだいぶお解り頂けたかと思います。もしも貴方が、車高だけを下げ、古いラバコンを気にもせず、全てのブッシュ類を一切交換しないで『ミニは乗り心地が悪い』と間違った思い込みしながら乗り続けている方だとしたら大変気の毒に感じます。日本人の多くは、クルマの性能をサスペンションや車体バランスよりもエンジン出力だけで決定してしまう傾向が欧米に比べて高いようです。この辺りはサスペンション性能と車体バランス性能を上手に説明しにくい事が問題のようです。また理解され難いこともあるのでしょう。

さて、コイルスプリングについてお話したNo39の補足を説明させて頂きます。

■オレンジ:
スコーピオンレーシング製DEF110用Rr
■パープル:
SPAX製ミニ用コイルオーバーRr
■ホワイト:
アラゴスタ製ケータハム用Fr
■蛍光グリーン:
MST製ミニ用
色んな車種用のコイルスプリングです。
車重や用途が異なる中で、有効自由長が短いミニ用MSTコイルスプリングはかなり特異な形状に見えます。

多くの種類が市場に出回っておりますが、ストラットコーン側との接地にアルミカラーを使用するタイプでは、その厚み分だけコイルスプリングのストローク長を失ってしまい、計算上で細くて巻き数の少ないコイルスプリングしか作れなくなります。短い自由長の中で無理に太いスプリングを選択すれば早期に【線間密着(全周に渡って巻線同士が直結される)】が始まってしまいます。ここでは製作で手間の掛かるテーパー形状を採用することで、アルミカラーを廃して部品点数を減らすことでもトラブルを回避します。

また、φ16未満のスプリング素材を選択すると、ラバコンの特殊なストロークに対するスプリングレートの上昇が追いつかなくなり、15mmくらいラバコンが圧縮されるとフロントタイヤは車体側に約80mmストロークした事になります。その際800kgf/mmの圧力が掛かる事がテスト結果で判明しております。20mmの圧縮では1000kgf/mmを超える訳で、この時のタイヤストロークは約100mm以上になります。そして15mm以下が限界で、これ以上のストロークは他社のストレート巻きコイルスプリングでは【線間密着】が始まり、アッパーアームがバンプストップラバーに当たる前にサスペンションとしての役目を果たせなくなってしまいます。そんな事ならば、もっとハードな(レートの高い)スプリングを選択すれば良いか?φ16のスプリングで巻き数を減らすか、1段太いφ18のスプリングを使用する事になります。

同じバネレートならば、一般的に巻数が多いほうが乗り心地は良いとされています。多い程にソフトで高耐久、少ない程にハードで低耐久となります。「なぜ、ハードスプリングの方が耐久性は低いのか?」とそんな疑問をもった方は非常に素直です。

ここでちょっとバネレートと乗り心地について。

例えば同じバネレート(例:100kgf/mm)のスプリングでも全長が短い(あるいは巻数が少ない)場合、その入力されるエネルギーが大きいとバネの中で蓄えきれずに余剰分が衝撃となって車体へ伝わり、これが乗り心地の悪化となります。この時の余剰分を吸収しようとショックアブソーバーの縮み側の減衰力を高くすると、高速ピストンスピードにストロークが追い付かなくなり、突き上げ感が強まります。逆にスプリング全長が長い(巻数も多く、線径も太い)と当然スプリングの容量が大きくなり、入力されたエネルギーを分散して吸収する許容量も大きく、余裕を持ってスプリング本体にエネルギーを蓄えることができ車体へ伝わる衝撃を和らげます。許容量の大きさは耐久性能にも関係する要素の一つです。但し、容量が大きいという事は体積・重量が大きくなり、車重を重くしてしまいます。

次に、だいぶ一般的に知られるようになってきましたが、バネには熱間成形と冷間成形があります。【熱間成形】は900℃近くまで熱した線材を芯金(シンガネ)に巻き、そのまま焼入れ焼き戻しの一連の熱処理を完了させる一般的な方法です。 【冷間成形】は熱間成形に対しての呼称で、あらかじめ引き伸ばしや、熱処理によって所定の機械的性質が与えられた線材を常温にて成形するものです。成形時点ですでに高い応力がかかっており、比較的経年劣化しにくい、初期反発力やレートの立ち上がりカーブが優しい・・・など乗り心地が良いスプリングとして使われます。もちろん弊社MSTはSUP12材を冷間成形で行っております。

上記のように、ターゲットとするバネレートや自由長、そして素材の選定から成形方法、バネの座りなどを考慮した巻き径など色々な要素を元に設計します。ターゲットとする走りのスタイルや、前軸重の重い1300ccオートマ向けの組み合わせなど幾通りのパターンをお試し頂ける様にラインナップを充実させております。

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